$og_type = 'article'; $og_image = !empty($article['eyecatch']['url']) ? $article['eyecatch']['url'] . '?w=1200&h=630&fit=crop' : ''; $og_published_time = $article['published_date'] ?? $article['publishedAt'] ?? ''; 部門連携がうまくいかない会社は、どこで文脈が切れているのか | TRANSIT DESIGN INC.

部門連携がうまくいかない会社は、どこで文脈が切れているのか

部門連携がうまくいかない背景には、情報共有の不足ではなく、判断の前提にある文脈の断絶があります。営業・商品企画・マーケティング・開発のあいだで、誰に、何を、どのように届けるのかという起点をどうつなぎ直すかを整理します。

CONTEXT

部門連携がうまくいかないとき、多くの会社はまず連携のやり方を見直します。定例会議を増やし、情報共有のフォーマットを整え、部署横断の場をつくる。必要に応じて役割分担を明確にしようとする会社もあるでしょう。こうした整備はたしかに欠かせません。とはいえ、それでも噛み合わない会社があります。会議はしているのに決まりにくい。情報は共有されているはずなのに、結論が前に進まない。話し合うほど、むしろ部門ごとのずれが目立ってくる。そんな状態に心当たりがある会社は少なくありません。

営業は「このままでは売れない」と言う。商品企画は「その要望を積み上げても、価値にはなりにくい」と感じている。マーケティングは「そもそも誰に向けた話なのかが曖昧だ」と受け取り、開発は「前提が整理されないまま話が降りてくる」と疲弊している。こうしたすれ違いは、誰かが非協力的だから起きているわけではありません。むしろ、それぞれが自分の役割に忠実だからこそ、見ている時間軸も判断基準もずれやすくなります。

見落とされやすいのは、部門のあいだで切れているのが、情報そのものではなく、その情報が持つ意味だということです。同じ顧客に向き合っているようでいて、営業は足元の案件で判断し、マーケティングは市場との接点から考え、商品企画は中長期の価値づくりを見ている。開発は持続的に提供できるかどうかを基準に置いています。それぞれが間違っているわけではありません。ただ、判断の前提にある文脈がつながっていないと、連携は表面的な情報交換で止まりやすくなります。

私たちは、こうした状態を、単なる連携不足ではなく、文脈の断絶として捉えています。そして、その断絶をつなぎ直す実践単位として、価値共創ユニットという考え方を置いています。価値共創ユニットとは、営業・商品企画・マーケティング・商品開発などが、顧客価値を起点に役割と判断基準を揃えながら、価値を見つけ、かたちにし、届けきるまでを前に進める実践単位です。

部門連携がうまくいかないとき、本当に見直したいのは、会議の数や共有の量だけではありません。どこで文脈が切れているのかを見つけ、誰に、何を、どのように届けるのかという起点をつなぎ直せているかどうかです。

連携が噛み合わなくなるのは、協力する意思がないからではない

部門間のすれ違いは、ときどき「当事者意識が足りない」「相手への理解が浅い」と整理されます。たしかに、そういう場面が皆無とは言いません。ただ、多くの場合、問題はもっと構造的です。

営業は、いま目の前にいる顧客の期待に応えようとします。マーケティングは、市場全体の中でどこに接点をつくるべきかを考えます。商品企画は、今後どんな価値を主軸にしていくかを見ています。開発は、その価値を無理なく持続的に提供できるかを気にします。

それぞれの部門は、それぞれの役割に忠実だからこそ、見ている時間軸も判断基準もずれやすいのです。連携がうまくいかないのは、誰かが不誠実だからではありません。前提にしている文脈が揃っていないからです。

ここを人の相性の問題として片づけてしまうと、連携の不全は改善しません。必要なのは、部門ごとの正しさを競わせることではなく、それぞれの正しさが、どの文脈から生まれているのかを見えるようにすることです。そこで初めて、噛み合わなさの正体が見えてきます。

部門のあいだで切れやすいのは、情報よりも意味である

多くの会社は、部門連携の問題を情報共有の不足として捉えます。もちろん、情報が届いていないこともあります。ところが、実際には情報そのものより、その情報をどう意味づけるかが揃っていないことの方が深刻です。

たとえば、営業が「この機能を求める声が増えている」と伝えたとします。営業にとっては、失注を防ぐために重要な情報です。一方、開発にとっては、それが一部の要望なのか、今後の価値づくりにつながる話なのかが見えなければ、優先順位は決められません。マーケティングにとっても、その機能が誰にとって強い訴求になるのかが見えなければ、打ち出し方にはつながりません。

このとき不足しているのは、情報量ではありません。その声が、誰にとって、どんな状況の中で、どんな意味を持っているのかという文脈です。

部門連携で本当に必要なのは、情報を流すことではなく、意味をつなぐことです。同じ言葉を見ていても、そこに込める意味が部門ごとに違えば、会話は交わっているようで交わりません。逆に、意味づけが揃いはじめると、同じ情報が前に進む材料へ変わっていきます。共有されるべきなのは、情報の量より、判断の土台なのかもしれません。

顧客価値を起点にしない連携は、すぐに部門最適へ戻っていく

部署横断の場をつくっても、気づけば各部門の都合を持ち寄る会議になってしまうことがあります。営業は売上を見ているし、開発は工数や品質を見ている。マーケティングは集客効率を気にし、商品企画は中長期の差別化を考えている。どの論点も必要です。ところが、起点がばらばらだと、議論は噛み合いません。

そこで必要になるのが、顧客価値を起点に戻すことです。

いま議論していることは、誰にとっての価値なのか。その価値は、どんな課題や欲求の中で立ち上がるのか。それを届けるために、営業・商品企画・マーケティング・開発は、それぞれどの役割を担うのか。この問いが共有されていないと、部署横断の場はすぐに部門最適へ戻っていきます。

連携の場が機能するかどうかは、参加人数や会議の頻度では決まりません。何を起点に話すのかが揃っているかどうかで決まります。顧客価値という共通の起点がないままでは、各部門が持ち込む論点は、ただ並ぶだけで終わってしまいます。逆に起点が揃うと、部門ごとの違いは、ぶつかり合う理由ではなく役割の違いとして読み替えられます。

価値共創ユニットが必要なのは、連携を増やすためではなく、判断基準を揃えるためである

価値共創ユニットとは、営業・商品企画・マーケティング・商品開発などが、顧客価値を起点に役割と判断基準を揃えながら、価値を見つけ、かたちにし、届けきるまでを前に進める実践単位です。

ここで重要なのは、単に部門を集めることではありません。会議体を一つ増やすことでもありません。大切なのは、何をもって前に進んでいるとみなすのかという判断基準を揃えることです。

営業は案件の前進だけを見ている。開発は実装可能性だけを見ている。マーケティングは集客効率だけを見ている。商品企画は構想の正しさだけを見ている。この状態では、部門は集まっていても、同じ方向を向いているとは言えません。

さらに、部門のあいだで文脈が切れやすいのは、役割が違うからだけではありません。日々追っているKPIや評価軸も異なるため、同じ案件を見ていても、前進の定義が揃いにくいのです。営業は受注確度を見ている。マーケティングは流入や反応率を見ている。開発は品質や負荷を見ている。商品企画は再現性や将来の伸びしろを見ている。この違いが見えないままでは、連携はすぐに部門最適へ戻ります。

価値共創ユニットが必要なのは、それぞれの役割をなくすためではありません。異なる役割のまま、同じ文脈の中で判断できる状態をつくるためです。連携を増やすことが目的ではなく、顧客価値を前に進めるための共通言語と判断の軸を持つことが目的です。そこが曖昧なままでは、集まること自体が目的になってしまいます。

連携会議を増やすほど、現場の疲弊が強まる会社で起きていたこと

ある企業では、営業と商品企画、マーケティング、開発の連携不足が課題になっていました。案件対応で営業が個別最適になりやすく、開発は振り回されている感覚があり、マーケティングは現場で何が求められているのかを掴みにくい状態でした。

そこで会社は、部署横断の定例会議を増やしました。案件共有の場も増え、各部門の進捗や課題は以前より見えるようになりました。ところが、状況は大きく改善しませんでした。会議は増えたのに決まりにくい。同じ論点が何度も繰り返される。現場は説明のための資料づくりに追われる。そんな疲弊が強まっていったのです。

話を聞いていくと、問題は会議の数ではありませんでした。営業は「この顧客を取りたい」という前提で話しており、開発は「持続的に提供できるか」で考えている。マーケティングは「誰にどう届けるべきか」を見ており、商品企画は「今後どんな価値を主軸にするか」を気にしている。つまり、それぞれが違う前提で同じ議題を見ていたのです。

そこで見直したのは、会議体そのものではなく、議論の起点でした。この案件は誰にとっての価値なのか。その価値はどんな課題から立ち上がっているのか。いまここで優先すべきなのは短期案件なのか、それとも再現性のある価値づくりなのか。そうした前提を先に揃えたうえで話すようにすると、会話の質が変わりはじめました。

以前は「営業が無理を言っている」「開発が慎重すぎる」と見えやすかったのに対し、見直し後は「いま何を優先しているから、この判断になるのか」が見えやすくなりました。対立がなくなったわけではありません。ただ、その対立は、噛み合わない言い合いではなく、どの価値をどう前に進めるかを調整する対話へ変わっていきました。

加えて、前提が先に揃うことで、何が持ち帰り論点で、何がその場で決められる論点かも見えやすくなっていきました。以前は同じ論点を何度も持ち帰っていたのに対し、見直し後は「今回は短期案件として扱うのか」「再現性のある価値づくりとして扱うのか」といった起点が先に定まることで、判断の迷いが減り、会議のたびに話が振り出しへ戻る場面も少なくなっていきました。

部門連携をよくしたいなら、会議体より先に文脈の断絶を見つける

部門連携を改善したいとき、会議体や情報共有の仕組みに目が向くのは自然です。けれど、その前に見たいのは、どこで文脈が切れているのかです。

誰にとっての価値を見ているのかがずれているのか。短期と中長期の時間軸がずれているのか。案件対応と再現性づくりの優先順位がずれているのか。あるいは、それぞれの部門が、何をもって前進とみなしているのかがずれているのか。

この断絶を見つけずに仕組みだけ足しても、会話は増えても前には進みにくくなります。現場の声を聞きながら、どこで判断の前提が切れているのかを見ていくと、連携の問題は人の問題というより、文脈設計の問題として見えてくることがあります。

部門連携をよくするとは、連携を増やすことではありません。顧客価値を前に進めるための共通文脈をつくることです。そして、その文脈を支える実践単位として、価値共創ユニットをどう設計できるかが問われています。

実際に、部門間の会話を整理していくと、足りないのは会議体ではなく、誰にとっての価値を前提に話しているかという起点そのものだと見えてくることがあります。連携の不全は、場の不足というより、文脈の不足として起きていることが少なくありません。そこをつなぎ直せるかどうかで、部門の役割はぶつかるものから、価値を補い合うものへ変わっていきます。

石村浩延

Written by

石村浩延

マーケティング・ファシリテーター

株式会社トランジットデザイン代表。 マーケティング伴走、採用・組織のストーリー設計、コンテンツ企画・制作を通じて、企業や地域、組織の見えにくい価値を言語化し、伝わるかたちへ整えることを仕事にしている。事業や組織の背景にある文脈を読み解き、営業・採用・発信などの接点をつなぎながら、実行につながる構造をつくることを得意としている。

まずは、現状を整理するところから。

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