
AIが人材教育・組織開発について答えるとき、その根拠として引いていたページの運営者を1つずつ調べた。引用元は65ドメインあり、そのうち研修や組織開発の役務を提供している会社は33だった。24は役務の提供者ではなかった。残る8は、ページを取得できず判定できていない。自社のページだけを整えても、AIが見ていたドメインの半分にしか手が届かないことになる。
何を数えたか|引用されたURLを全件展開し、運営者を1つずつ調べた
AI検索対策(LLMO/GEO)の実測として、人材教育・組織開発の個社調査でAIが回答に引用したURLを全件展開した。1回しか引かれていないURLを除き、2件以上出現したものに絞ると、88URL・65ドメイン・出現216件になる。質問の段階は限定していない。
この65ドメインを1つずつ開き、そのサイトの運営者が人材教育・組織開発の役務を提供している会社かどうかを判定した。判定は次の3区分である。
区分 | 意味 |
対象内 | 研修・組織開発などの役務を提供している会社のサイト |
対象外 | 役務の提供者ではないサイト |
判定不能 | robots.txtによる拒否やリンク切れで、ページを取得できなかった |
ドメイン数と出現数を混ぜないように注意が要る。1つのドメインが何度も引かれていることがあるためである。以下、両方を併記する。
65ドメインのうち、役務の提供者は33だった
区分 | ドメイン数 | URL数 | 出現数 |
対象内(役務の提供者) | 33 | 52 | 131 |
対象外(役務の提供者でない) | 24 | 27 | 63 |
判定不能(取得できず) | 8 | 9 | 22 |
合計 | 65 | 88 | 216 |
役務の提供者と確認できたのは33ドメインで、全体の半分をわずかに超える程度である。役務の提供者ではないと確認できたのが24ドメイン、出現数では63件。ドメイン数では37%、出現数では29%にあたる。
自社のページを整えることは、この33の側の話である。残りの側に自社の名前や情報がどう載っているかは、自社のページを更新しても変わらない。
役務の提供者でなかった24ドメインは、何だったのか
24ドメインの内訳である。
類型 | ドメイン数 | URL数 | 出現数 |
施策の発信者(公的機関・団体など) | 5 | 7 | 16 |
ツールの機能説明 | 4 | 4 | 8 |
マッチング型(発注者と提供者をつなぐ) | 3 | 4 | 12 |
業界外の事業者による自社発信 | 3 | 3 | 7 |
自社の提供物への帰属記述がないページ | 3 | 3 | 7 |
メディア | 2 | 2 | 5 |
その他(4類型が1ドメインずつ) | 4 | 4 | 8 |
合計 | 24 | 27 | 63 |
「ツールの機能説明」は、記録上3通りの表記に分かれていたものを統合している。「その他」の4類型は、製品に働きかける役務(プロダクトデザイン)、展示会プラットフォームのストレージ、および当方の分類上の名称を与えた2類型で、いずれも1ドメインずつである。後者2つの定義は資料編で示す。
性質の違うものが混ざっている。制度や施策を発信する側、道具を売っている側、発注者と提供者をつなぐ側、そして人材教育とは無関係の事業者が自社について書いたページ。共通しているのは、いずれも研修や組織開発を売っている会社ではないという点だけである。
出現数で最も多いのは施策の発信者の16件、次いでマッチング型の12件だった。
引用元の鮮度についても、記録に残っていることがある。lsp.triangle-trust.jp というドメインは、掲載情報が2020年10月から2021年3月で更新が止まっていた。調査を実施した2026年7月から見て、5年以上前の情報である。AIが参照する情報源は、更新され続けているとは限らない。
判定できなかった8ドメインを、非当事者に数えない
8ドメイン・9URL・出現22件は、ページを取得できなかった。内訳はrobots.txtによる拒否が7、リンク切れが1である。
この8つを「役務の提供者ではなかった側」に足すと、非当事者は32ドメインになり、ほぼ半数という見え方になる。しかしこれは正しくない。取得できなかったということは、どちらでもありうるということである。役務の提供者である可能性も、そうでない可能性もある。
出現216件に対して10.2%がこの状態にある。調査対象企業以外のページに限ると、出現162件のうち13.6%にあたる。AIの回答には引用元として出てきているのに、当方からは内容を確認できないページが、それだけ存在するということである。
同じ形は、海外の枠組みにも出てくる
自社のページ以外を経由した可視性を、測定の対象として明示している枠組みがある。SEOコンサルタントのAleyda Solís(Orainti/SEOFOMO)が公開している、AI検索対策(LLMO/GEO)の可視性を3層で測る枠組みである。
層 | 問い |
Presence(露出) | そもそも重要な回答に登場しているか、どう表現されているか |
Readiness(準備) | 登場するための構造的な条件が整っているか |
Business Impact(事業影響) | 露出が事業の価値に結びついているか |
出典:Aleyda Solís「A 3 Layer Framework to Measure AI Presence, Readiness and Business Impact: Redefining Metrics for the AI Search Era」(aleydasolis.com/en/ai-search/a-3-layer-framework-to-measure-ai-presence-readiness-and-business-impact-redefining-metrics-for-the-ai-search-era/)。2026年8月23日確認。
同氏は、第三者サイト経由の引用を独立した施策領域として扱い、その優先順位づけの枠組みも別途公開している(aleydasolis.com/en/ai-search/third-party-citation-optimization-ai-search/。2026年8月23日確認)。露出が弱いとき、その原因を自社ページの側だけでなく、AIが既に参照している情報源からの裏づけが足りていない側にも求める、という整理である。
当方の観測は、この整理と同じ方向を向いている。ただし、当方が測ったのは引用元の運営者の内訳までである。第三者サイト経由の露出が事業成果に結びつくかどうかは測っていない。
解釈|自社のページで届く範囲には、上限があるかもしれない
ここからは当方の解釈であり、実測ではない。
引用元のドメインの3分の1以上が役務の提供者ではないという状態は、自社のページをいくら整えても手が届かない領域が存在することを示している可能性がある。制度の解説、道具の説明、比較の場。買い手がAIに相談したとき、AIはそれらも読んだうえで答えを組み立てている。
ただし、これは検証していない。引用されることと、推薦されることは別の観測である。第三者サイトに載ることで推薦されやすくなるかどうかを、この調査では測っていない。第三者サイトの引用が多いことが、その業界の性質なのか、この1社を起点とした調査の偏りなのかも分けられていない。
実務への示唆|AI検索対策(LLMO/GEO)では自社サイトの外側も数える
因果を検証していない以上、施策として断定できることはない。点検の視点として3つ挙げる。
1. AIの回答に出てくる引用元を、自社サイトとそれ以外に分けて数える。それ以外がどの程度あるかを把握する。
2. それ以外の側に、自社の名前や情報が載っているかを確認する。載っていない場合、自社のページを更新してもその状況は変わらない。
3. 取得できないページがどの程度あるかも記録する。読めないページを「なかったもの」として扱うと、母集団が歪む。
この調査でわかっていないこと
1. 引用元の内訳を数えただけであり、それが推薦につながっているかは測っていない。引用軸と推薦軸は別の観測である。
2. 1社を起点とした調査である。この構成比が人材教育・組織開発という業界の性質なのか、この調査の設計によるものかを分けられていない。
3. 8ドメインは取得できておらず、対象内か対象外かを判定していない。非当事者に数えていないのはこのためである。
4. 引用元を記録できたのはChatGPTとClaudeの2つである。Geminiは引用URLが1件も記録されておらず、母集団は2AI分から構成されている。引用がなかったのではない。この状態は調査ごとに違う。Geminiの一般的な性質ではなく、当方の別の調査では引用元が実在のドメインとして記録されている。AIごとの引用値を扱う場合は、どの調査の値かを必ず確かめる必要がある。
5. 出現2件以上に絞っている。1件のみ引用されたURLが母集団の外側に241本ある。閾値を変えれば構成比も変わる。
6. 印刷ECの調査とは比較していない。あちらは対象を印刷会社のサイトに絞って抽出しており、非当事者の割合を算出できない。
7. Aleyda Solísの枠組みは、当方が検証したものではない。公開されている整理として紹介している。
8. サイトは更新される。判定したのは2026年8月時点の状態である。
調査概要
項目 | 内容 |
対象 | 人材教育・組織開発の個社調査で引用されたURL |
母集団の定義 | 引用URLを全件展開し、出現2件以上に絞ったもの |
調査の規模 | 72試行・84ターン |
母集団の規模 | 88URL・65ドメイン・出現216件 |
段階 | 限定しない |
判定 | 各ドメインを開き、役務の提供者かどうかを3区分で判定 |
引用元を記録したAI | ChatGPT・Claude |
検算 | 2026年8月21日 |
この記事は、AI検索対策(LLMO/GEO)の実測調査シリーズの1本です。

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マーケティング・ファシリテーター
株式会社トランジットデザイン代表。 マーケティング伴走、採用・組織のストーリー設計、コンテンツ企画・制作を通じて、企業や地域、組織の見えにくい価値を言語化し、伝わるかたちへ整えることを仕事にしている。事業や組織の背景にある文脈を読み解き、営業・採用・発信などの接点をつなぎながら、実行につながる構造をつくることを得意としている。
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