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AI検索石村浩延

AI検索で会社名が出るかは、3つの関門で決まる|LLMO/GEOの全体像を実測データで整理する

AI検索対策という言葉は、3つの別々の問題を指している。質問の形で枠が開くか、候補の名簿に入るか、入った後に何を語られるか。この3つは順番に効き、詰まる場所で打つ手も測り方も違う。各関門の実測と測定設計を整理する。

AI検索対策という言葉は、実際には3つの別々の問題を指している。買い手の質問がそもそも会社名の出る形か、候補の名簿に入るか、入った後に何を語られるか。この3つは順番に効き、詰まる場所によって打つべき手も、測り方も違う。本稿は各関門の実測と、それぞれをどう測るかを整理する。

「AI検索対策」が指す範囲は、広すぎる

AI検索対策として提案されているものを並べると、技術的な実装、コンテンツの拡充、第三者メディアへの掲載、測定ツールの導入まで幅がある。これらが同じ目的に向かっているように語られるが、実際には効く場所が違う。

効く場所を分けずに施策を選ぶと、詰まっていない関門に投資することになる。逆に、詰まっている関門を特定できれば、選ぶべき手も、そもそも打ち手があるのかも判断できる。

表1 3つの関門

関門

問い

観測されたこと

測り方

第一

その質問で会社名が出るか

買い手の相談が業者を探す形になるまで、業者名が挙がらない場面がある

段階の違う相談文を用意し、企業名の有無を数える

第二

候補の名簿に入るか

買い手が付ける条件で、挙がる企業の顔ぶれが入れ替わる

条件語だけを差し替えて、登場企業を記録する

第三

何を語られるか

語られる内容は5つの型に分かれ、条件によって配分が変わる

登場した回答を読み、記述を型に分類する

観測の詳細と限界は、各関門を扱った記事に記載している。関門の数が3つであることも、確定した枠組みではない。

第一関門|その質問で、そもそも会社名が出るのか

買い手の相談を4段階に分け、3つのAIで実行した。経営課題の悩み、手段が未定の相談、手段は決まった状態での頼み方の相談、そして業者を教えてほしいという依頼である。

表2 相談の段階と、業者名が挙がった回答数

質問の型

会話継続

単発実行

AI別(ChatGPT・Claude・Geminiの順)

経営課題(悩み)

0 / 27

0 / 27

3AIとも0/9

機能課題(手段が未定)

0 / 27

0 / 27

3AIとも0/9

手段は決まった(頼み方)

0 / 27

0 / 27

3AIとも0/9

調達(業者を教えて)

26 / 27

26 / 27

9/9・9/9・8/9

会話継続実験・距離操作実験(2026年7月29日)。3系列×3AI×各3回で各ターン27回答。回答本文からの判定のため3AI横断で比較できる。相談3系列は筆者が支援する事業会社の顧客像をもとに設計しており、その会社に関わりの深いテーマでの測定である。

注目すべきは3段階目である。買い手はすでに手段を決めており、頼み方を相談している。それでも業者名は出なかった。枠が開くのは手段が決まったときではなく、買い手が業者を尋ねたときである。

別の設計の調査でも、登場は特定の場面に集中していた。無指名の12シナリオで測ったところ、追跡していた10社の登場は、サプライヤー選定の2本と解決策探索の1本にしか発生していない。要件定義や検証の質問では0件だった。

ただし2つの調査は一致していない。会話継続実験では手段が未定の段階で業者名が0件だったのに対し、業界調査では解決策探索で2試行の登場があった。調達に近い段階に集中する点は共通しているが、その手前の扱いは食い違っている。設計が違うため、どちらが正しいとは言えない。

第二関門|候補の名簿に入るか

枠が開いたとして、次はそこに自社が入るかである。相談文の条件語だけを差し替え、他を固定して測った。

表3 条件語ごとに登場した企業の種類数と、無条件時との重なり

条件

登場企業の種類数

無条件時と共通

当該条件のみ

無条件(統制)

9

実績×規模

18

5

13

費用

15

8

7

地域

21

3

18

体制

28

7

21

手法

20

6

14

条件別推薦実験(2026年8月11日)。人材教育・組織開発領域。3AIを横断した企業種類数で、AI別の内訳は集計上存在しない。各セルn=3のため件数表記とし、率には換算しない。

地域の条件では、登場した21社のうち無条件時と共通するのは3社だけだった。逆に、無条件時に挙がっていた9社のうち6社は姿を消している。名簿は1つではなく、条件ごとに組み替わる。

もう1つ、この関門にはAIの検索動作も効く。検索ツールを渡さない層と渡す層に分けて測ると、順位が入れ替わった。検索なしで2番目に多かった会社が16件から2件に落ち、検索なしでは同じ5件だった2社が、検索ありでは13件と1件に分かれている。

第三関門|候補に入った後、何を語られるか

名簿に入っても、語られる内容が薄ければ買い手の判断材料にならない。AIが企業に触れた記述を1件ずつ分類すると、実績・契約条件・手法・体制・特徴のみの5つに収まった。

表4 人材教育・組織開発|記述型別の件数

記述型

件数

手法

181

体制

125

実績

91

特徴のみ

91

契約条件

70

条件別推薦実験(2026年8月11日)。3AI×条件語6種、集計母数555件。各セルn=3のため件数表記とし、率には換算しない。

表5 会計SaaS|記述型別の件数と構成比

記述型

件数

構成比

手法

317

41.3%

特徴のみ

231

30.1%

契約条件

102

13.3%

体制

79

10.3%

実績

38

5.0%

会計SaaS編 遡及判定(2026年8月11日)。240試行の回答に5記述型を遡及適用、単一モデル、各シナリオn=10。表4とは設計が異なるため、2つの表を突き合わせて比較してはいけない。5記述型の判定は判定基準v2.1による(「価格」はv2.2で「契約条件」に改称)。

2つの領域で型を新設する必要は生じなかったが、どの型が多いかは違う。会計SaaSでは、具体的な内容を伴わない「特徴のみ」が231件で2番目に多い。名前が挙がることと、選ぶ理由が語られることは別である。

そして、何を語られるかも買い手の条件で動く。費用の条件を足したときの実績の記述は、ChatGPTで0件、Geminiで0件、Claudeで8件だった。同じ条件でAIによって結果が逆になる。自社の強みが実績にあっても、費用を聞かれた相談では語られないことがある。

関門は独立していない

3つを順番に説明したが、実際には相互に絡む。

第二と第三は、同じ条件が同時に効く。費用の条件は候補の名簿を組み替えると同時に、語られる型の配分も変える。条件を1つ足すことで、両方の関門で状態が変わる。

関連する観測として、AIに語られた型の数が多い企業ほど登場回数が多いという段差がある。3型以下は登場試行の中央値が1から2にとどまるのに対し、4型では5、5型では18である。第二関門と第三関門をまたぐ関係に見える。

ただしこれは相関であり、因果ではない。「よく登場する企業だから語られる型が揃った」という逆向きでも、「規模の大きい企業ほど型も登場も多い」という第三の要因でも、同じ数字になる。しかも5つの型を満たしながら登場の少ない企業が現にいる。型を埋めれば登場が増えるとは言えない。

実務への示唆|関門ごとに測り、関門ごとに判断する

第一に、手前の関門から順に確認する。第一関門で止まっているなら、それは自社の問題ではない可能性がある。誰も出ていない場所を見ているだけかもしれない。

第二に、条件を変えて測る。無条件の相談で挙がっていても、条件が付いた瞬間に消えることがある。買い手が使いそうな条件を洗い出し、条件ごとに記録する。

第三に、検索の有無を分ける。同じ会社が、片方の層で上位、もう片方で下位になる。片方だけの測定では位置を取り違える。

第四に、登場した回答を読む。名前が挙がった回数だけでは、何を語られたかが分からない。回答を読んで型に分類する作業は自動化しにくいが、ここを飛ばすと第三関門の状態が見えない。

第五に、施策より先に測る。どの関門で詰まっているかを知らずに施策を選ぶのは、症状を見ずに薬を選ぶのに近い。

この整理でわかっていないこと

因果は検証していない。3つの関門は観測された構造であり、「こうすれば通過できる」という検証を経ていない。関門ごとの打ち手として書いたものも、効果が確認された施策ではない。

関門の数が3つであることも確定していない。今後の測定で、さらに分ける必要が出る可能性がある。

「選ばれる」ことは測っていない。本稿の観測はすべてAIが何を出力したかであり、買い手が実際にその会社を選んだかどうかは分かっていない。

領域とnの制約がある。条件別推薦実験は各セルn=3で人材教育・組織開発の1領域、記述型の分類は2領域、業界調査は単一モデルによるものである。会話継続実験の相談3系列は、筆者が支援する事業会社の顧客像をもとに設計している。

調査間で数値を比較していない。設計・試行数・AI構成・質問型が異なるため、本稿の各表は独立して読む必要がある。

調査概要

表6 本稿で引用した調査

調査

実施日

設計

単位

会話継続実験・距離操作実験

2026-07-29

3系列×3AI×各3回+対照群

各ターン27回答

条件別推薦実験(人材教育・組織開発)

2026-08-11

条件語6種×3AI×各3回

555件/71社

会計SaaS編 遡及判定

2026-08-11

240試行の回答に5記述型を遡及適用/単一モデル

767件

人材教育編 業界調査

2026-07-29

無指名12シナリオ×検索2層/単一モデル/追跡10社

197試行

各調査の設計・n・率表示の可否・クライアント関与・限界は、それぞれを扱った記事に記載している。設計が異なるため、調査間で数値を比較してはいけない。

調査対象企業はすべて匿名である。本稿は全体像の整理であり、新規の測定は含まない。各関門の詳細と限界は、それぞれを扱った個別の記事を参照されたい。

石村浩延

Written by

石村浩延

マーケティング・ファシリテーター

株式会社トランジットデザイン代表。 マーケティング伴走、採用・組織のストーリー設計、コンテンツ企画・制作を通じて、企業や地域、組織の見えにくい価値を言語化し、伝わるかたちへ整えることを仕事にしている。事業や組織の背景にある文脈を読み解き、営業・採用・発信などの接点をつなぎながら、実行につながる構造をつくることを得意としている。

まずは、現状を整理するところから。

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